一括払いの前提条件として任意保険会社から損保料率機構に対して任意保険金の支払の前にその認定を請求する場合が多くあります。これは任意保険会社が被害者に支払前に、自賠責保険会社から将来いくら支払われるのかを知る必要があるので、後遺障害の等級認定等を事前に依頼する事です。被害者の方の立場での後遺障害認定では無く、いわば「事前算定」です。
これは任意保険会社の資料に明確に記載されている事柄です。「これから示談を行うあたって、任意保険会社としてお支払額を決定するために」と、以下は某損害保険会社のパンフレットになります。
事前認定の際には、医療機関よりの後遺傷害診断書が必要になります。この診断書作成に当たっては、医療機関では個人情報の保護に関する法律施行後は、被害者本人の同意を求めています。後遺傷害の認定は、その状態に応じて第1級から14級までの等級認定が行われ、申請をしても非該当となる場合や、たとえ認定されても、被害者の思っていた等級よりも低い等級で認定される場合もあります。
また、事前認定の場合は認定結果が直接被害者に通知されず、任意保険会社に通知されます。行政指導により任意保険会社が被害者に対して事前認定の結果の説明をするように要請されていますが、等級のみを通知して、すぐに示談交渉にうつる場合が少なくありません。被害者にとっては示談の主導権を任意保険会社に渡すことになりかねません。
事前認定の結果の通知の際に、自賠法16条に規定されている書面の交付や書面による説明等は、わずか数行程度で済ませているケースを多く見かけます。