認定基準における相当因果性

後遺障害認定の為の前提条件です。

6つの相当因果性を有すること

自賠責における後遺障害とは、「傷病がなおったときに残存する当該傷病と相当因果性を有し、かつ、将来においても回復が困難と見込まれる精神的又は身体的なき損状態であって、その存在が医学的に認められ、労働能力のそう失を伴うもの」と規定されています。
その上で、ここにいう相当因果性とは、事故態様、受傷機転、愁訴の一貫性、症状経過、他覚的所見、症状固定時期の妥当性の6つになります。
この全てで、本件事故と相当因果性を有していることが、後遺障害認定の前提条件になります。
後遺障害認定の実務上は、事故受傷時が一番重篤である(即時性発症)とし、初診時及び超急性期の期間内に、医療機関における診断書等に記載されている傷病名に対して、上記の「相当因果性」が重要視されます。
まずは、症状が事故直後ないし急性期から出現して継続しているという「時間的因果関係」が必要になります。
次ぎに、既存の身体的疾病(既往病)ないし心因的要因による影響に重症化がある場合には、それらの責任分担を明確にしておく必要があります。

6つの相当因果性

すべてに相当因果性を有することが後遺障害認定の必要条件です。

もっとも、相当因果性を有する前提条件は、事故受傷後に、医療機関にて外傷性の傷病の診断がなされ、その上で医療機関への半年間以上・40日以上の通院履歴があり、かつ、その半年間に4週間以上の通院の中断が無いになります。
その上で、外傷性の傷病と下記の6つの相当因果性を充たしていると判断された場合に、後遺障害として認定される事になります。
つまり、6つの相当因果性の全てにおいて立証(事実確認)ができる事であり、1つでも欠けている場合には非該当との結果になります。

事故態様

その状況を事故証明書と事故発生状況報告書にて立証します。

受傷機転

自賠責では初診時に医師が診断書に記載した傷病名が出発点になります。外傷性頚部症候群又は頚椎捻挫と記載されていると思われます。1と併せて、こういう事故ならばこういう怪我になることを確認します。外傷とは、組織が損傷したもので、その傷病名は、発生時の受傷機転が確認できるものとされ、解剖学的部位名と外傷態様の組み合わせによって構成されているものです。

症状経過

治療の中断の有無(4週間以上の治療中断が無いこと)を確認し、診断に基づく治療経過や投薬や処置等(リハビリを含む)を確認します。一貫した治療が行われた事が証明されるには6か月以上の通院を充たす必要があります。

愁訴の一貫性

超急性期(初診から10日以内)に出現した自覚症状が、傷病名を原因として、その症状が一貫して現在も残存していることを確認します。

他覚的所見

残存している症状が後遺障害に該当するか否かが評価できる理学診断や画像所見を確認します。画像情報とは、形態学的記録であり、経時的に変化がなく客観的で複数の医師による評価が可能という優れた利点があります。そのためには、適切な時期・機器・撮影方法が必須であり、正確な臨床情報と画像専門家の読影診断によって確定診断に至ります。

症状固定日の妥当性

事故受傷日より6ヶ月以上を経過していれば、妥当性があると判断しています。

つまり、事故受傷より1週間以内に医療機関を受信し、医師によって外傷としての傷病の診断がなされ、その後医療機関へ半年間以上に渡り継続的に通院し、かつ、その半年間に4週間以上の通院中断が無く、残存する症状が画像所見や理学検査所見によって、医学的に証明又は説明できる事が、後遺障害としての相当因果性を有することになります。

相当因果性の問題点

受傷機転と症状経過、他覚的所見

6つの相当因果性を有することが、後遺障害認定の前提条件ながら、ケースによって、少し厄介な問題が生じます。

受傷機転での問題

後遺障害の認定においては、初診時に付された外傷性傷病名に対して、その後の治療を経ても症状が残存した障害程度を評価します。初診時以降に、障害の症状や病態を表すものでは無い 新たな傷病名が付され、その傷病名による症状が残遺しているケースです。

症状経過の問題

初診は事故現場付近の救急病院で、その後ご自宅近隣の医療機関へ転医して治療やリハをすることになります。問題となるのはこの後に、ご自身の選択や事情で再転医して、整形外科以外の診療科を主たる治療先としたケースや、医師の指示が無いままに漫然と施術を継続したケースです。

他覚的所見の問題

経過診断書と後遺障害診断書の他覚的所見をもって障害程度の評価がなされます。医療機関によっては、経過診断書は所見とは言えない程度の同じ内容が繰り返されていたり、後遺障害診断書では自覚症状と一致しない内容が記載されているケースです。

異議申立における医証

障害の評価は、医学的な他覚的所見に基づいて行われます。

上記の6つの相当因果性の立証では、事実確認できる書類を準備すれば足りるものと、主治医に協力を頂くものがあります。
特に、他覚的所見においては、症状が残存して後遺症がある事を、医学的に証明又は説明できる所見が必要となります。
ここに言う所見とは、一般的な医学上の指針等とは異なり、損害保険料率算定機構の自賠責損害調査事務所の損害調査にて、有意な所見として扱われている物差しによる場合があります。
したがって、傷病に応じて、その都度有意な所見を得るための検討をして、主治医に協力をして頂き、事実確認を変更するに値する新たな医証の取得が必須になります。

施術の問題

施術所は医療機関ではありませんし、施術者は医師でもありません。

医療機関への通院と併用で施術所(整骨院・接骨院・鍼灸院)にて施術を受けることが、事故と相当因果性を有する為には、1.施術の必要性、2.施術の有効性、3.施術内容の合理性、4.施術期間の妥当性、5.施術費の相当性について、受診者=被害者が個別具体的な立証の負担を負うと判示されていますが、これを施術者が立証できないのが実情です。
また、施術証明書兼明細書の「負傷の経過」記載された所見が、医学的な根拠に基づくもので無いことから、とても受傷機転・症状経過・他覚的所見において、相当因果性を立証できるものにはならないのが実情です。
施術所等への併用であった場合には、少し厄介になります。

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