施術(柔道整復師)の問題

医療機関ではありませんし、医師でもありません。

遺障害の認定基準は、「医学的に証明又は説明できること」になります。これは医療機関における医療行為と、医師による経過観察後の所見によるものを示します。

接骨院・整骨院とは、「柔道整復師」による施術所になります。柔道整復師法には、(定義)第2条、この法律において「柔道整復師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、柔道整復を業とする者をいう。とされ、(外科手術、薬品投与等の禁止)第16条柔道整復師は、外科手術を行ない、又は薬品を投与し、若しくはその指示をする等の行為をしてははならない。とされ、(施術の制限)第17条柔道整復師は、医師の同意を得た場合のほか、脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならない。ただし、応急手当をする場合は、この限りでない。 と規定されています。
したがって、原則的に医療行為としては認められていませんし、診断書を書く事もできません。つまり、接骨院等へ幾ら施術に通っても、等級認定の評価においては、医学的なものとして扱われる事はありません。
一方、治癒又は症状固定後の損害賠償(示談)においても、施術等(柔道整復・鍼灸・按摩・カイロプラティクス)に係わる費用が損害として認められない場合があります。
損害として認められるには、施術等が医師の指示である、施術等について医師の同意がある等の医師の関与がある事、つまり、その必要性・合理性・相当性・有効性の要件を満たしていることが必要になります。

施術を受けるには医師の指示が必要です

厚労省令「保険医療機関及び保険医療養担当規則」

17条にて「保険医は、患者の疾病又は負傷が事故の専門外にわたるのもであるという理由によって、みだりに、施術業者の施術を受けさせることに同意を与えてはならない」と規定されています。
したがって、健康保険では柔道整復師等は患者に対して施術を行ってはならないことになります。

「当院では、交通事故診療においても、同時に接骨院等にいくことを認めてはいません。」、「事故後から接骨院等のみにかかっている場合や、医療機関受診後に長期間に渡って接骨院等に通っている場合等は、症状の経過が不明となり、症状と交通事故との因果関係が証明できなくなるため、診断書や後遺障害診断書の作成をお断りする場合があります。」と掲示されています。

 ポスター:日本臨床整形外科学会・自賠労災委員会作成

どうやら、医師は施術に対してはネガティブであり、「接骨院等の尻ぬぐいはしない」、「施術の必要性は無い」、「施術を受けたから具体が悪くなった」が多くの医師の心情の様子です。

後遺障害が認定される受診形態

医師の指示による平行受診

事故受傷により痛みやしびれ等の神経症状が残遺している場合では、医師が急性期期間中(受傷から3ヶ月以内)に、施術の指示をし、医療機関と平行して通所する形態が、後遺障害が認定される為には必要な条件になります。
事故受傷より1週間以内に医療機関にて初診があり、その時点で外傷性の傷病名の診断がなされ、医師により処置が行われ、治療が継続され経過観察が行われていることが出発点になります。
その後、施術が必要との「医師の指示」があり、施術に通われた、平行して医療機関への通院が継続され、半年を経てもなお症状の改善が得られないとして、症状固定時となり、医師が後遺障害診断書を発行することになります。
したがって、事故受傷より1週間以内に医療機関への受診歴が無く施術所に通った場合や、医療機関での通院加療を中断して施術所に通った場合には、そもそも後遺障害には該当しない事態になります。

 医療機関と施術の平行受診形態

上記の図は、後遺障害に認定される受診形態の例示です。
初診と終診が医療機関でその間は施術所のみの「中飛ばし」形態や、医療機関を受診し終診となりその後に施術所へ通所した「中止後受診」の形態では、そもそも後遺障害として認定されるための前提条件を充たしていません。
施術の効果が無いとは言えませんが、施術に通うことは後遺障害として認定される必要条件では無く、むしろ無駄で不必要なものです。

医師と柔道整復師の違い

ご存じの通り、医師になるには大学の医学部6年を卒業し、国家資格を得て、研修医として2年勤務し、その後整形外科の専門医になるためには4年以上の臨床実務が必要です。大学入学から凡そ12年に及ぶ道のりです。これに対し、柔道整復師は高校卒業後、3年間の専門学校の卒業後に国家試験を受験できます。

柔道整復師は医師ではなく、あん摩・マッサージ、はり・灸師と同じ医業類似行為の資格です。この柔道整復とは、「皮下の運動器に種々の外力が加わることによって生じる骨折、脱臼、打撲、捻挫あるいは軟部組織損傷に対して、評価、整復、固定、後療法(手技・運動・物理)、指導管理を行う」ものとされています。
施術所等は医療機関ではありませんし、外傷による捻挫や打撲に対する施術と骨折・脱臼の応急処置が業務範囲で、変形性関節症や五十肩のような慢性疾患は取り扱えませんし、施術所等にて健康保険を使って外傷以外の疾患で通うことは違法ですし、診断書の作成や、投薬や治療を行うことが法令(柔道整復師法16条・17条)で禁止されています。
医師は説明と同意(インフォームドコンセント)が常識ですが、柔道整復師がこれらを施術前にキチント説明している施術所は稀です。
それもで、大切なご自身の体を任せることができますか?

施術に関する諸問題

任意一括損保の対応

自賠責保険では「柔道整復師等の施術費用は、必要かつ妥当な実費とする」とされていますが、裁判例では、「医師による指示の無い施術については治療費として認められない」とされる場合があります。
施術を受ける際には相手方任意損保に承諾を得ることになり、多くの損保はそれを認めると思われます。そこには「これで痛みについて後遺障害の目が無くなった」、「早期に治療を打切り、示談する」との思惑があると思います。

施術費用の賠償責任

最近の裁判例では、施術所等への通所が「必要かつ妥当でない」として、施術費が否定されたり、通所期間の削減やの慰謝料が減額されるケースがあります。
否定や減額されるケースは・医師の指示の必要性・施術の効果・施術の内容・施術期間ならびに施術費の相当性に問題があるとの等の理由によるものです。
人身事故の被害者は年々減少傾向にありますが、施術費は著しく増加しています。これは社会的の事件(不正請求等)を引き起こしていることから、今後はより一層、厳しいものになると思われます。
頸椎捻挫や腰部捻挫後の神経症状(痛みの症状)については、ご自身のケガを医師以外に任せることには慎重であるべきです。
現在、医療機関に通院加療中であるならば、主治医の先生へ「施術の指示又は同意」を伺って見て下さい。
もしや、主治医が施術を同意するならば、他の医師を探すべきです。
どうやら、施術に通うことは様々な問題があります。それでも施術所を頼りにしますか?

医療機関にて治療を継続して下さい

ケガを治せるのは医者

事故にて被害に遭われたら、医療機関の医師による治療を継続して下さい。初診時は、最寄りの救急医療病院としても、その後の医療機関も医師も選択できる時代です。

これは、ご自身がご判断されることですが、整形外科を受診される場合には、リハビリが出来る医療機関(理学療法士や作業療法士が在籍している)を選択されるべきです。
最寄りに無い場合には、リハビリができる医療機関と連携している開業医を選択するべきです。
また、痛みがひどい場合には、主治医よりペインクリニックへの紹介を依頼されて、痛みの専門医による治療を受けられるべきです。
ケガを直すためには、後遺症が残るよりは、事故前の状態にまで回復できることが何よりです。
事故受傷から3ヶ月間が急性期とされています、この期間中に医療機関のドクターショッピングをして、症状に応じた適正な治療を受けられるべきです。

 

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