自賠責保険の脳外傷にとる高次脳機能障害の判断基準

自賠責保険の診断基準は、実際に脳が傷ついていたかどうかを症状から推定した基準が、頭部急性期における意識障害の程度と期間と、画像から推定し、症状として現れるいるかどうかの判断を家族や実際の介護者や周辺の人が気づく日常生活の問題を判断する基準にしています。具立的な項目は
1.頭部外傷急性期における意識障害の程度と期間
2.家族や実際の介護者や周囲の人が気づく日常生活の問題
3.画像所見として、急性期における何らかの異常所見、または、慢性期にかけての局所的な脳委縮とくに脳室拡大の進行
4.頭部外傷がなく、あるいは頭部外傷があっても、ふだんの日常生活に戻り、その後数か月以上を経て次第に高次脳機能障害が発現したようなケースにおいて、外傷による慢性硬膜下血腫も認められず、脳室拡大の進展も認められなかった場合には、外傷とは無関係に内因性の痴ほう症が発症した可能性が高いものといえる。

頭部外傷を負っている事を画像所見にて確認し、その症状を詳しく調べ、本人の実際の症状に一致しているかどうかの確認をしています。

後遺障害の等級認定のポイント

自賠責保険における脳外傷による高次脳機能障害は、脳の器質的損傷によるもので、等級認定は、事故による脳損傷の有無、障害の内容・程度の判断の2段階に分けて検討されます。
自賠責保険と同様に、高次脳機能障害に着目して研究を行っていた厚生労働省が高次脳機能障害支援モデル事業の一環として公表した診断基準においても、「MRI、CT、脳波など」により器質的損傷が確認される事が要件として挙げられています。  

表1:脳外傷による高次脳機能障害の等級認定にあたっての基本的な考え方

障害認定基準

補足的な考え方

介護を要する後遺障害

1級1号

神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

身体機能は残存しているが高度の痴呆があるために、生活維持に必要な身の回り動作に全面的介護を要するもの

介護を要する後遺障害

2級1号

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

著しい判断能力の低下や情動の不安定などがあって、一人では外出することができず、日常の生活範囲は自宅内限定されている。身体的動作には排泄、食事などの活動を行う事ができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声かえや看視を欠かすことができないもの

後遺障害

3級3号

神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

自宅周辺を一人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。また声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える。しかし記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの

後遺障害

5級2号

神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

単純繰り返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。この為一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの

後遺障害

7級4号

神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服する事ができないもの

一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行う事ができないもの

後遺障害

9級10号

神経系統の機能又は精神に障害を残し、服する事ができる労務が相当な程度に制限されるもの

一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題があるもの

自賠責保険における高次脳機能障害認定システムについて。平成12.12.18

高次脳機能障害整理表

高次脳機能障害の障害認定は、上記の4能力に係る総室の程度に応じた認定基準に従って行うものであるが、別紙高次脳機能渉外整理表は、障害の程度別に能力喪失の例を参考として示したものである。

意思疎通能力 (記銘・記憶力、認知力、言語力等)
問題解決能力 (理解力、判断力等)
作業負荷に対する持続力・集中力 (身体的な持続力を含む)
社会行動能力 (協調性・攻撃性・易刺激性等)
  • A  多少の困難はあるが概ね自力でできる
  • (1)  職場で他の人と意思疎通をほぼ図ることができる。
  • (2)  必要に応じ、こちらから電話をかけることができ、かかってきた電話の内容をほぼ正確に伝えることができる。
  • (1)  さほど複雑でない手順であれば、概ね理解して実行できる。
  • (2)  ある程度抽象的な作業であっても概ね1人で判断することができ、実行できる。
 概ね8時間支障なく働ける。
周囲の人ともほぼ交流ができ、作業や生活に多少の支障しか生じない。(変更)
  • B 困難はあるが概ね自力でできる
  • (1)  職場で他の人と意思疎通を図るためにはゆっくり話してもらう必要がある。
  • (2)  かかってきた電話の内容を時々忘れることがある。
  • (3)  普段の会話には何とかついていけるが、文法的な間違いをしたり、適切な言葉を使えないことがある。
C 困難があり多少の援助が必要
  • (1)  職場で他の人と意思疎通を図ることができるが、意味を理解するために時には繰り返してもらう必要がある。
  • (2)  指示がなければ、こちらから電話をかけることができない。
  • (3)  雑談程度の会話の場合でも断片的な単語だけで話すことが多い。
  • (1)  手順をなかなか理解することができず、何度も確認することが必要である。
  • (2)  かなり具体的な作業であっても1人で判断することは困難であり、時々助言を必要とする。
概ね8時間働けるが、障害のために予定外の休憩あるいは注意を喚起するための監督が時々必要である。 障害に起因する非常に不適切な行動(攻撃性・不安定性など)が時々認められ、作業や生活に支障が生じる。
D 困難はあるが援助があればできる
  • (1)  職場で他の人と意思疎通を図ることができるが、意味を理解するためにしばしば繰り返してもらう必要がある。
  • (2)  電話のベルが鳴れば、受話器を取ってこちら側の名前・社名は言える。  伝言の記憶が不正確で依頼者の名前を思い出すことが困難なことが多い。
  • (3)  単語を羅列することによって、自分の考え方を伝えることができる。
E 困難が著しく大きい
  • (1)  実物を見せる、やってみせる、ジェスチャーで示す、などのいろいろな手段と共に話しかければ、短い文や単語くらいは理解できる。
  • (2)  ごく限られた単語を使ったり、誤りの多い話し方をしながらも、何とか自分の欲求や望みだけは伝えられるが、聞き手が繰り返して尋ねたり、いろいろと推測する必要がある。
  • (1)  与えられた一つの課題についても、なかなか理解することができない。
  • (2)  単純な作業であっても1人で判断することは著しく困難であり、頻繁な指示がなければ対処できない。
障害により予定外の休憩あるいは注意を喚起するため、監督をしばしば行っても半日程度しか働けない。 障害に起因する非常に不適切な行動(攻撃性・不安定性など)がしばしば認められ、作業や生活に大きな支障が生じる。
F できない 職場で他の人と意思疎通を図ることができない。 課題を与えられてもできない 持続力に欠け働く事ができない。 社会性に欠け働くことができない。

ご家族等が作成する日常生活状況報告書について

後遺障害等級認定にあたっては、事故の前と後とで、被害者の日常生活状況、就学就労状況、社会生活などが、具体的にどのように変化しているのかも重要な要素になります。そのため、診察された医師、ご家族、実際に介護をなさっている方々に簡単な報告書を作成して頂くことになります。
この報告書は、意思疎通能力、問題解決能力、作業負荷に対する持続・持久力、社会行動能力という4つの能力の喪失程度により、等級を評価する資料として使われています。
具体的には、全部、大部分、半分程度、相当程度、多少、わずかな能力と6段階の区分で評価をしています。
日常生活状況報告書の日常活動及び問題行動の項目では、能力程度は0~Nに設定されていますが、等級の評価のおける6段階の喪失程度に該当するのは1~4の4段階になります。
そこで、ご家族等のご記入者の方が、社会生活・日常生活にどうように影響を与えているのかや、仕事や学校を辞めた等の理由やいきさつ、身の回り動作能力の内容や頻度を、具体的に書き込む欄があります。
単に事故の前と後をまとめるのではなく、治療経過中の出来事や現在の様子から、4つの能力という視点でまとめる事が大切になります。

急性期(事故受傷から3ヶ月)を過ぎても改善が得られない場合

弁護士マターになります

高次脳機能障害と診断をされ、急性期を過ぎても症状が改善しない場合には、弁護士に相談されるべきです。
弁護士は相手方損保との交渉やその後の後遺障害認定、さらには生活費の工面などの支援ができます。
早急に、複数の法律事務所(弁護士)に相談されて、その中から選定されることをお薦め致します。

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