症状固定、治癒後の問題

医療から介護への分岐
高齢者が被害者の場合は、治療が長期化し、後遺障害の残存から他の疾患を誘発するなど暮らし全般で様々な問題が発生します。
任意保険会社の一括払いのサービス利用も、治療の長期化により、本人の保険を使用して治療を継続していく事になります。家族への負担が増えるとともに、医療機関からリハビリや介護施設へ移る場合など次々と問題が発生します。
本来ならば、医療から福祉へつなぐシステムが必要とされますが残念ながら乏しく、医療機関に掛った本人が、適切な時期に適切なリハビリを受けることができ、同時に福祉制度や成年後見制度に関する情報も提供され、一定の指標が示されたうえで、社会復帰への過程を段階的に進めることが求められるべきですが、高齢者が被害者の場合にはご家族がその役目を担う事になります。
既往病と事故で受傷した疾患によって、認知症が発現する場合もあります。認知症と診断された場合には、本来は本人の意思表示が曖昧になる事や判断能力が低下する事もあり、成年後見制度を利用しなければならない事態が発生する場合があります。成年後見制度は本人の身上監護と本人の意思の尊重がその理念で、本人の財産管理と身上監護が後見人等の職務になります。事故における示談交渉や損害賠償金の受取など、重要な法律行為を後見人等が行うことになります。
ご親族と同居されていない場合には、医療機関に入院中にそこに所属する医療ソーシャルワーカー(MSW)に協力を求め、介護事業者や地域包括支援センターなど社会福祉資源を活用し、養護できる環境を整える必要があります。

75歳以上方が被害に遭われた場合

75歳以上の方がお医者さんにかかる場合は、負担を軽くして、安心して医療を受けられるようにするため「老人保健制度」が適用されます。(65歳以上で一定程度の障害がある方を含みます。)国民健康保険、職場の健康保険、共済組合などの加入者やその被扶養者すべてに適用されます。老人医療の対象者には、「健康手帳」と「医療受給者証」を交付します。なお、医療受給者証には、自己負担割合(1割または2割)が記載されていますので確認してください。毎年8月1日現在で、老人医療受給対象者について所得の判定を行い、負担割合が変わる方には新たな負担割合を記載した医療受給者証を交付します。
老人保健でお医者さんにかかったときに自分で支払う医療費(一部負担金)は、外来(在宅医療を含む)、入院ともかかった医療費の1割です。一定以上の所得がある方(課税標準額が124万円以上)は2割を負担します。自己負担額は、毎年の所得に応じて変わります。
老人保健受給者の方の負担が重くなりすぎないよう、外来・入院とも1ヶ月に支払う自己負担額には上限が設けられています。同じ世帯に老人保健でお医者さんにかかった方が複数いる場合は、医療費を合算することができます。
交通事故など第三者の行為によって、けがをした場合でも届け出により老人保健で治療を受けることができます。 この場合、老人保健が医療費を一時的に立て替え、あとで加害者に費用を請求することになります。

第三者行為による被害の届け出

交通事故にあったら、警察及び町役場住民税務課に忘れずに届け出を行いましょう。
例えば、被害者が子供の健康保険組合の被保険者であった場合、第三者行為の届出は被害者の受給証を発行している地方自治体にのみ提出すれば完了します。子どもの健康保険組合への連絡も届出も必要ありません。
医療機関や保険組合が「交通事故だから老人保健や健康保険ではなく自由診療(相手方の任意保険の一括払い)で受診してほしい」と求めれても、被害者本人のご意思で選択する事が原則です。
高齢者の交通事故の場合は、自由診療よりも保険診療の方が、一部負担金も1割なことや、その後に利点がある場合が多いのも特徴です。

重度後遺障害者の方への介護料の支給や育成資金の貸付など

介護料の支給や育成資金の貸付、療養センターの設置などを独立行政法人自動車事故対策機構行っています。介護料の支給や医療施設の設置・運営による重度後遺障害者への援護、介護料は、自動車事故が原因で、脳、脊髄又は胸腹部臓器を損傷し、重度の後遺障害を持つため、移動、食事及び排泄など日常生活動作について常時又は随時の介護が必要な状態の方に支給します。
育成資金の無利子貸付や友の会の運営・家庭相談による交通遺児等への援護自動車事故による被害者の方に対して次の貸付けも行っていますので、自動車事故対策機構 NASVAの交通事故ホットライン。専用ナビダイヤル 0570-000738にてご確認ください。

自賠責保険への被害者請求

損害賠償上(経済的な側面)の分岐
高齢者の損害賠償額のほとんどが、裁判で争う必要もなく、自賠責保険への被害者請求にて損害の全額が回復される場合が多いも特徴です。
自賠責保険の損害調査所での障害事案での調査所要日数は98.1%が30日以内です。受傷後に相手方の任意保険会社より、治療が長期化することが想定される場合は、本人の保険利用を求められる場合も多く、月を単位にしてそのつど自賠責保険に仮渡金を請求し、その後症状固定と診断された場合には、医師に後遺障害診断書の作成を依頼して、自賠責保険への本請求と後遺障害等級認定を申請することが有効な場合が多くあります。

 

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