第三者行為災害とは

公的医療保険制度や介護保険、老人保健、労災保険では事業主体である保険者を第一当事者といいます。その給付を受ける方、被保険者または被災労働者を第二当事者といいます。
それぞれの保険制度では目的に照らして保険給付を行いますが、その給付原因が第一・第二当事者以外の者の不法行為(過失・故意)の場合は、加害者が民法709条の規定により損害賠償の義務を負います。この加害者のことを第三者といいます。
被害者が傷病の治療等に公的医療保険の適用を受けて受診した場合、保険者が給付の価額を限度として被害者が第三者に対して有する損害賠償請求権の一部を代位取得します。保険者が損害賠償権を代位取得するためには、以下の3要件を満たしていることが必要です。
1. 給付事由が第三者の不法行為によって生じたこと
2. その事故に対して保険者が保険給付を行ったこと
3. 当該被災者の第三者に対する損害賠償権が現に存在していること
以上の3要件が成立していることにより、保険者は当然に代位取得しますが、求償事務処理の円滑化を図るために届出を義務化しています。これが第三者行為災害(傷病)届出です。

自動車事故に係る第三者行為災害

第三者の行為に起因する給付の類型にはさまざまな場合がありますが、交通事故を原因とする第三者行為災害には下記の要因が考えられます。
1. 通勤の手段や業務に自動車や二輪車を利用することが多い
2. 被害者(被災者)にも過失が発生することがあり、自動車保険の先行では被害者(被災者)が不利益を被る場合がある。
3. 加害者が契約している任意保険会社が労働者災害報償保険(以下労災保険)(健康保険)の先行を要請する。
4. 加害者側が任意保険に契約していると、保険者が負担した費用を徴収することが容易で、保険者からの求償が円滑に行われる

国民健康保険・健康保険の保険者への届出

国民健康保険の被保険者の方は、国民健康保険を発行している地方自治体及び国民健康保険組合へ、第三者の行為による被害届(傷病届)を遅滞なく提出します。保険者により届出書の様式や添付書類がまちまちですので、事前に確認が必要になります。
健康保険の被保険者の方は、健康保険証を発行している社会保険事務所または社会保険事務局事務センターおよび健康保険組合に、第三者の行為による被害届(傷病届)を遅滞なく提出します。保険者により届出書の様式や添付書類がまちまちですので、事前に確認が必要になります。

注) 労働・社会保険諸法令に基づく申請・届出書等の作成は、社会保険労務士の独占業務になりますので、行政書士の業務ではありません。

労災保険の通勤災害について

労災保険では、業務上の事由又は通勤による負傷、疾病、障害または死亡に対して、必要な保険給付をするとされています。通勤災害については詳細な定義が明文化されています。
「通勤とは、労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により往復することをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。労働者が往復の経路を逸脱し、又は往復を中断した場合においては、当該逸脱又は中断の間は及びその後に往復は、通勤とはしない。ただし、当該逸脱又は中断が、日用品の購入その他これに準じる日常生活上必要な行為をやむを得ない事由により行うための最低限度のものである場合は、当該逸脱又は中断の間いを除き、この限りではない」とされています。
簡単にまとめると、職場から自宅まで一直線上の合理的な経路で方法であることが通勤です。その間に経路を外れてコンビニに寄った後に経路に戻った場合は通勤途上になります。
労災保険の手続きは、被災者が所属する事業所を管轄する労働基準監督署労災課に必要な書式によって提出します。この届出の提出期限は「遅滞なく」とされていますが、事故後2か月以内が目途になります。

注) 労働・社会保険諸法令に基づく申請・届出書等の作成は、社会保険労務士の独占業務になりますので、行政書士の業務ではありません。

労災保険と自動車保険

業務上の事由又は通勤による負傷で治療を受ける場合、例えば、被被害者(本人)に3割の過失があり、治療費の総額が200万円だった場合では、相手方の任意保険を使った場合では300万円の3割=90万円が被害者(本人)の負担になります。しかし、労災保険を適用して受診した場合では、まず治療費総額の5割(150万円)が減額され、その全額が労災保険で補償されます。労災保険の保険者(政府)は第三者(加害者)に対して過失相当額の105万円(150万円の7割)を求償し、被害者の過失分45万円は保険者が負担し、被害者の負担が発生しないことになります。
つまり、労災保険を使用すると過失割合に応じた自己負担が無くなる事になります。また、労災保険より休業特別支給金の給付を受けることができます。この特別支給金は加害者側の任意保険会社から満額の休業補償を受けても受給することができます。

保険者の給付制限と請求時期

公的医療保険のすべてに給付制限という条項があります。交通事故の治療に無制限に健康保険や労災保険を使用できる訳ではありません。被害者の過失が10割であった場合にご自分の健康保険を適用して受診したとしても、給付制限に抵触すれば後日変換の請求が来ることなります。
給付制限に抵触するのは事故要因が、飲酒運転・麻薬等による運転・無免許運転・法定速度または指定速度を30キロ以上超過した運転・本人の故意による行為になります。
また、著しい不行跡による場合も一部の給付が制限されます。具立的には、居眠り運転・信号無視・一旦停止違反・追い越し禁止違反・わき見運転・過積載運転・速度違反・Uターン禁止違反
保険者は、特に負担額が高額な場合や、給付制限時効に抵触する恐れがあると判断した場合は、その当事者や保険会社や警察などから事実情報を収集します。
保険者は毎月の診療報酬請求書に基づいて、求償を行うことになりますが、交通事故の場合は、被害者側にも過失がある場合が多く、一般的には治療が完了又は症状固定した後に、過失割合の確定を待って求償しています。
被害者の過失割合が大きくて、相手方に責任を負わせることが難しい場合には、自賠責保険への直接請求や健康保険を利用することに利点があります。

 

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