自賠責保険から支払があった場合の注意点

自賠責の支払い基準では外国人を特に適用除外していません。逸失利益の算定にあたっては、日本での就業形態や長期在留の蓋然性(可能性)等によって基礎収入額や労働能力喪失期間につき日本人と異なる場合がありますが、基本的には日本人と同様の扱いがなされています。
日本での在留活動に制限がない、「永住者」「日本人の配偶者等」「定住者」「定住者の配偶者等」「特別永住者」の方は、日本人と全く同じ算定になります。
判例・「日本人の配偶者等」の在留資格で就労中に事故で自坊した日系ブラジル人について、将来ブラジルでコンビニエンスストアを開店するための資金を貯めることを目的として来日したことを考慮して、休業損害及び症状固定から5年間の逸失利益については日本における実収入を基礎に、その後67歳までの期間についての逸失利益についてはブラジルにおける最低賃金の4.5バイの収入を基礎にそれぞれ算定した(岐阜地御岳支判平9.3.17)


在留資格の問題

在留資格には期間の定めがありますので、休業期間や後遺障害の残存期間に応じて休業損害を算出しますので、算定の対象期間が在留期間を超えるときは、在留期間が更新される可能性が立証される事を条件に、この更新後の期間も賠償の対象期間に含めて算定されることになります。

就労査証の方の休業損害・逸失利益・休業補償・慰謝料

休業損害・昭和51年の来日以来日本で就業し、昭和63年からは東京支店支配人の地位にあって平成3年の事故で受傷したシリア人について、日本における実収入を基礎に休業損害を算定した(東京地判平9.10.28)
逸失利益・中国人の夫や子2人とともに日本に在住し、「技術」という在留資格で1年ごとに在留期間の更新を続けていていて事故にあい後遺障害の残った中国人女性の逸失利益について、日本人の賃金センサスを基礎に20年間の逸失利益を認めた(名古屋地判平7.11.24)
後遺障害の慰謝料・12級11号の米国人経営コンサルタントにつき、傷害の慰謝料を含めて合計350万円を認めた(大阪地判平7.11.24)
死亡の慰謝料・死亡した中国人男性(大学院生、31歳)につき2400万円を認めた(東京地判平10.3.25)

一般査証・特別査証の方の休業損害・逸失利益・休業補償・慰謝料

休業損害・在留資格「家族滞在」の中国人女性について、事故前3ヶ月の実績によるアルバイト収入を基礎にして休業損害を認めた短期滞在の在留資格で来日し、在留期間けい(名古屋地判平16.6.30)
逸失利益・約3ヶ月間の予定で日本の大学で研修を受けている間に事故で死亡した韓国人獣医師の逸失利益について、韓国において予想される将来の収入を基礎に算定した(東京高判平7.1.19)
後遺障害の慰謝料・11級の後遺障害が残ったパキスタン人について、傷害の慰謝料を含めて合計200万円を認めた(最判平9.1.28)
後遺障害の慰謝料・12級の後遺障害の残った中国人について、傷害の慰謝料として280万円、後遺障害の慰謝料として200万円を認めた(東京高判平9.6.10)

オーバーステイの方の休業損害・逸失利益・休業補償・慰謝料

休業損害・就労可能な時間以上に就労していて事故にあい受傷した中国人の就学生の休業損害について、日本における実収入を基礎として算定した(東京地判平3.4.26)
逸失利益・短期滞在の在留資格で来日し、在留期間経過後も不法就労してい機械の操作中に受傷してガーナ人女性について、症状固定後3年間は日本における実収入を基礎とし、それ以降はガーナにおける製造業の男女平均賃金額を基礎として逸失利益を認めた(東京地判平5.8.31)
後遺障害の慰謝料・不法残留中に就労していて事故にあい受傷した中国人について、症状固定から3年間は日本における実収入を基礎とし、それ以降は、中国人の給与は日本人の3分の1程度であるとして、日本における実収入の3分の1を基礎として逸失利益を算定した(東京高判平9.6.10)
死亡の慰謝料・短期滞在の在留資格で来日し、在留期間経過後もスネックホステスとして不法就労中事故で死亡したフィリピン女性につき、1000万円を認めた(名古屋地判平10.3.18)

 

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