渉外事案(外国人)の諸問題

外国人が日本に滞在している間に交通事故に遭い被害者になった場合

外国人が被害者の場合は、特別に考慮すべき要素があります。・在留資格の種類、・日本における将来の在留期間の長短、・日本や本国における就労の可能性、・本国等の物価水準や所得水準、・死亡事故において、遺族の主たる生活基盤がどこの国にあるかです。

準拠法の問題

国籍を保有している国の本国法が原則的には準拠法とされています。法例では、本国法が家族法上の問題に適用すべき原則的な準拠法とされています。具体的には、婚姻の成立要件、婚姻の効力、夫婦財産制、離婚、親子間の法律関係、後見・保佐、相続、遺言などの単位法律関係において、本国法が準拠法として規定されています。


在留資格の問題

在留資格には期間の定めがありますので、休業期間や後遺障害の残存期間に応じて休業損害を算出しますので、算定の対象期間が在留期間を超えるときは、在留期間が更新される可能性が立証される事を条件に、この更新後の期間も賠償の対象期間に含めて算定されることになります。

損害賠償の問題

外国人労働者の損害賠償金額の算出は、入管法による在留資格の規定と関連し、収入の継続性や安定性という点に影響が生じる場合があります。それは逸失利益の算定方法でも同様です。

最高裁判所の外国人の労災事故に関する判例

事故後の3年間については、日本に在留する可能性が高く、日本における現実の給与額を基礎として計算し、その後については、本国に帰国するのが通常との理由で、本国の収入額を基礎として計算する。
我が国における就労可能期間は、来日目的、事故時点での本人の意思、在留資格の有無・内容、在留期間、在留期間更新の実績及び蓋然性、就労資格の有無、就労態様の事実的及び規範的な諸要素を考慮して、これを認定するのが相当である。(最判平9.1.28)

法の適用に関する通則法について

国籍を保有している国の本国法が原則的には準拠法とされています。法例では、本国法が家族法上の問題に適用すべき原則的な準拠法とされています。具体的には、婚姻の成立要件、婚姻の効力、夫婦財産制、離婚、親子間の法律関係、後見・保佐、相続、遺言などの単位法律関係において、本国法が準拠法として規定されています。
2007/1/1に施行され、国際私法に関する規定の整備 についての法律です。この法律の骨子は下記になります。
ア.法律行為の成立及び効力に関する準拠法について,当事者による選択がない場合には,法律行為の当時における当該法律行為の最密接関係地法によるものとする等の規定を設ける。
イ.消費者契約の成立,効力及び方式並びに労働契約の成立及び効力について,消費者及び労働者の保護の観点から,消費者の常居所地法又は労働契約の最密接関係地法中の特定の強行規定を適用する旨の主張をすることができるものとする等の規定を設ける。
ウ.不法行為によって生ずる債権の成立及び効力に関する準拠法について,原則として結果発生地法(結果発生地が通常予見不能の場合には加害行為地法)によるものとするほか,生産物責任及び名誉・信用の毀損に関する特例規定等を設ける。
エ.債権の譲渡の債務者その他の第三者に対する効力について,譲渡に係る債権の準拠法によるものとする。
オ.以上のほか,・隔地的な法律行為の方式,・行為能力の制限に関する取引保護,・後見開始の審判等及び失踪宣告,・外国人の被後見人等に対する日本法の適用等に関する規定を整備する。

 法の適用に関する通則法(132KB)

交通事故(不法行為)の準拠法は、17条・20条・36条

第17条(不法行為)不法行為によって生ずる債権の成立及び効力は、加害行為の結果が発生した地の法による。ただし、その地における結果の発生が通常予見することのできないものであったときは、加害行為が行われた地の法による。
第20条(明らかにより密接な関係がある地がある場合の例外) 前三条の規定にかかわらず、不法行為によって生ずる債権の成立及び効力は、不法行為の当時において当事者が法を同じくする地に常居所を有していたこと、当事者間の契約に基づく義務に違反して不法行為が行われたことその他の事情に照らして、明らかに前三条の規定により適用すべき法の属する地よりも密接な関係がある他の地があるときは、当該他の地の法による。
第36条(相続) 相続は、被相続人の本国法による。

 

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